インタビュー
2013年2月号掲載
『リカーシブル』刊行記念特集
いま、米澤穂信さんに聞きたいこと
2年ぶりとなる待望の最新作刊行を記念して、ネット上で募集した読者からの質問に作家がお答えします。
対象書籍名:『リカーシブル』
対象著者:米澤穂信
対象書籍ISBN:978-4-10-128783-6
Q ほろ苦い青春の思い出はありますか?(@わわわん)
A 弓道をやっていたのですが、勝てばインターハイという県予選大会で、私のせいでチームが負けてしまいました。しばらくは弓を見ることもできませんでした。
Q 執筆上、米澤先生にとって欠かせない三種の神器とはなんでしょう?(@たくじ)
A パソコン、卓袱台(ちゃぶだい)、ざぶとん。どうも思うような高さの卓袱台に巡り会えません。
Q 生まれ変わったら何になりたいですか
?(@ピアート)A へ、編集者とか……。いや、本当になりたいのか? どうなんだろう。そうでもないような気がしてきました。
Q ツイッターで拝見していると、米澤先生はどうも台所に立つ事が多いみたいですね。得意料理は何でしょうか?(@池田独/@G線上のマリモ)
A 麻婆豆腐とかトマトリゾットとか、鍋ひとつでできるものばかりが得意です。旨いです。
Q 「作家になって良かったなあ」と感じるときはどんなときですか?(@ChaNi)
A 小説が完成した一瞬です。一瞬だけ……。
Q 携帯の待ち受け画面は?(@ミザント)
A デフォルトのままです。
Q 私はこの春から高校生になりますが、とても不安で不安で仕方ありません。米澤先生は高校時代どのような青春をおくっていたのでしょうか。(@るしべ)
A 放課後になると弓道場に向かう毎日でした。あまり大きな声では言えませんが、部活の帰りにはこっそりゲームセンターに行くこともよくありました。ノートに小説をこつこつ書きためて、高校の三年間で一篇の長篇になりました。好きなことをやっていても、案外なんとかなります。
Q 海外と国内のベストミステリを3作品教えてください。(@kado_m)
A 国内は『乱れからくり』(泡坂妻夫)、『戻り川心中』(連城三紀彦)、『六の宮の姫君』(北村薫)。海外は『火刑法廷』(ジョン・ディクスン・カー)、『試行錯誤』(アントニイ・バークリー)、『ホッグ連続殺人』(ウィリアム・L・デアンドリア)。
Q 自分の作品を読んでくれるのならこの人も読んでみて欲しいという作家はいますか?(@けいすけ)
A 先のご質問で挙げたベスト3の作家に加えて、辻真先をおすすめします。
Q 20年後、何をしていると思いますか?(@モア蔵)
A 次の新作の構想を練っているのではないでしょうか。たとえもう出版への道が閉ざされてしまったとしても、そうしていると思います。
Q 世界が滅亡することなく、新刊を読むことができるであろう幸せに感謝しています【編注 12月22日付の投稿】。米澤先生がリラックスする時に欠かせないものは?(@知朱)
A まくら!
Q 密かにライバルだと思っている作家さんはいますか?(@なまくらスネイル)
A いません。
Q 新潮社から出版される作品はとりわけ黒いものが多い気がしますが、なぜでしょうか?(@url)
A あまり意識はしていないのですが、もしそうなっているとすれば、巡り合わせとしか言えないです。
Q 『折れた竜骨』『リカーシブル』など、少女が主人公となる作品が続きましたが、その意図や魅力はなんでしょうか?(@佐野次狸)
A 難しいご質問です。登場人物の性別や性格は物語に応じて自動的に立ち上がってくるので、特別な意図というものはないのです。
Q 穂信さんの目指すミステリ、これから挑戦したいミステリは何ですか?(@はるたむ)
A ひとが営々と築き上げてきたものを描き出し、それと謎との交点に成り立っていくようなミステリを書きたいと思っています。
年末年始の2週間ほどの募集期間にもかかわらず、とりわけ十代、二十代の若い読者の方々から多数のご応募をいただきました。今後ともご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
(よねざわ・ほのぶ 作家)