書評・エッセイ

2014年11月号掲載

健康マニアが辿り着いた「鼻呼吸」

――今井一彰『あいうべ体操と口テープが病気を治す! 鼻呼吸なら薬はいらない』

生島ヒロシ

対象書籍名:『あいうべ体操と口テープが病気を治す! 鼻呼吸なら薬はいらない』
対象著者:今井一彰
対象書籍ISBN:978-4-10-336651-5

 口の筋肉を使って「あいうべ」、寝るときには口に専用の紙テープ。たったこれだけで健康が維持できるなんて、本当に不思議でしょう。レギュラー番組に穴を開けられない僕にとって、この2つの習慣はどうしても欠かせないのです。
 何しろ僕は、自他ともに認める健康マニアです。そんな健康観に影響を与えているのは、大学時代のアメリカでの留学経験だと思います。アメリカは「保障のない国」。当時はまだベトナム戦争をやっていましたが、ちょうどこの頃からアメリカは健康志向になっていった。なぜかというと、日本のような保険制度がなく、病院へ行くと医療費が高いのです。だから、「自分の健康は自分で守る」「病院へ行かずに済むよう、ジムで体を鍛え、サプリメントを摂る」といった、セルフメディケーションの考え方が浸透していました。
 1989年にTBSを退社し、フリーになった頃から、もっと本気で健康のことを考えるようになります。僕が倒れてしまったら、家族も事務所も立ち行かなくなる。そうならないために、大切だと痛感したのが、あのセルフメディケーションでした。僕は、自助努力、自主判断、自己責任、そして自己防衛の4つを人生の柱にしていますが、まさに、その基本が、「自分の健康は自分で守る」なのです。
 98年から続けている朝のラジオ番組「生島ヒロシのおはよう定食」と「生島ヒロシのおはよう一直線」(ともにTBSラジオ)でも、健康ネタはキラーコンテンツ。たくさんのドクターと出会って、お話を聞くようになりました。これまでいろいろな健康法を教わりましたが、僕はよく言えば「広く浅く」、わるく言えば中途半端で、目移りして、なんでもかんでも、とりあえずはじめちゃう。三日坊主で終わる場合もありますが、楽しく続けているものも少なくありません。
「楽しみながら健康をやる」のはおもしろいですよ。いろんな新鮮な情報が次々と入ってきて、つねに60兆個の細胞がいきいきしている気分になる。その中でもコストがかからず、簡単に続けられるものが僕の性格には合っていて、その最たるものが、今井一彰先生の「あいうべ体操」なんです。
 口呼吸に警鐘を鳴らし、鼻呼吸の大切さを説いておられる今井先生を最初に知ったのは、たしか健康雑誌の記事でした。僕の伯母がリウマチを患っているのですが、先生の「あいうべ体操」ならば薬を使わずに良くなると聞き、その本をプレゼントしたんです。伯母の症状が軽くなったこともあって、僕の番組にも登場していただくようになりました。今では講演をするときも必ず紹介しています。テレビでも、「あー、いー、うー、べー」と大きく口をあけながらやってみせて、最後に舌をべーっと出すところで皆さんにうけるんですよ。
 鼻で吸って鼻で吐く――毎日「あいうべ体操」をし、寝るときに口に専用テープを貼る。これだけで健康でいられて、病院に行く必要がなくなるというのは、まさにセルフメディケーション。以前はたびたび、飲み込みがつかえて苦しくなることがありましたが、「あいうべ」で舌が鍛えられ、飲み込む力がついたのも実感しています。また、睡眠時無呼吸症候群の治療になるのもうれしいですね。睡眠の質がよくなると、体力の回復も早くなります。その上、口テープを貼ってしっかりと鼻呼吸をするようになってから、本当に風邪をひかなくなった。おかげさまで、病気で休んだことはゼロ。仕事に穴をあけたことはありません。
 自分が心地よい範囲で続けられることをしながら、自助努力をしていくのがいい。ラジオの放送中も、最初の30分は立ったまま話しているんです。ストレッチやスクワットなんかやりながらね。あとは体を冷やさないとか、万歩計をつけて、1日8000歩を目標にするとか。僕はそういう、“隙間の健康法”が好きなんです。こんな風に楽しみながら、「病院へ行かずにすむ体を自分で維持する」セルフメディケーションを、日本人も本気で考えていくべきなんです。

 (いくしま・ひろし フリーアナウンサー)

最新の書評・エッセイ

ページの先頭へ