書評
2016年1月号掲載
猫写真 ぼくのお気に入りベスト3
――沖昌之 写真集『ぶさにゃん』
対象書籍名:『ぶさにゃん』
対象著者:沖昌之
対象書籍ISBN:978-4-10-339761-8
《ベスト1 お花をのせたぶさにゃん先輩。》
ぼくが猫の写真を撮り始めるきっかけになった猫さんです。数年前の大晦日、仕事の休憩時間に近くの公園で初めて会いました。「ぶさかわいい!」。ひと目でファンになり、彼女(実は雌)を撮るようになったのです。
いつもでんと構えて、何事にも動じない風格から「ぶさにゃん先輩。」と名付けました。彼女を追いかけながら、他の猫達もカメラに収めました。よく、「猫に好かれるんですね」と言われるのですが、ぼくはそう思っていません。しつこくついて来るぼくを「しょうがない奴だな」と呆れるように、猫達が渋々撮らせてくれている、という感じなのです。
ぼくは、猫達の自由なところが好きです。喜怒哀楽がはっきりしていて、気ままで、気まぐれ。猫達のいろいろな瞬間を撮ったぼくの写真が、見た人を和ませたり、クスッと笑わせたり、心をいやしたりできるのであれば、最高だなと思っていました。だから、この写真集が一人でも多くの方の手に届くことを、心より願っています。
《ベスト2 塀にぶら下がる》
塀の上に飛び乗ろうとして、目測を誤ったようです。猫はジャンプする前に、目標の高さをじーっと観察するものですが、この子には塀が高すぎたのかもしれません。
でも大丈夫。ググッと懸垂で体を引き上げて、無事に乗り越えていきました。
《ベスト3 ネコザイル》
塀の上を縦列になって進んで来る猫達に会いました。先頭の二匹がカメラを構えるぼくに気づき、「どうする?」と振り向くと、後続の猫達が「なんだ?」と覗く素振り。まるでエグザイルの縦列パフォーマンスみたいでした。
(おき・まさゆき)