書評・エッセイ

2018年10月号掲載

アンケート企画 My Favorite Shincho Bunko Best 5

新潮社社員が選ぶ「新潮文庫 わたしの5冊」

8月号の作家篇に続き、今回は各部署の社員に訊ねたマイ・フェイヴァリッツ。
子どもの頃読んだ本がまだ入手可能だと、思わず遠い目になります…。

私の少女マンガな5冊

①『車輪の下』 ヘルマン・ヘッセ/高橋健二訳
②『春の嵐(ゲルトルート)』 ヘルマン・ヘッセ/高橋健二訳
③『ドリアン・グレイの肖像』 オスカー・ワイルド/福田恆存訳
④『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す』 トーマス・マン/高橋義孝訳
⑤『変身』 カフカ/高橋義孝訳

 萩尾望都、竹宮惠子、山岸凉子らのマンガに感化されまくっていた当時の少女にとって、ヘッセやワイルドは必読書でした。マンガが教えてくれた西洋の秘やかな世界に触れたくて、物語の中に寄宿舎、美少年、孤独、友情以上の感情といったキーワードを嗅ぎ取る行為。読書、というよりは確認、だったのでしょうか。世界的名作なのにすいません。
 (生活文化図書編集室 秋山礼子)

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あっと驚く5冊

『片眼の猿One-eyed monkeys』 道尾秀介
『ラッシュライフ』 伊坂幸太郎
『儚い羊たちの祝宴』 米澤穂信
『生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術』 逢坂妻夫
『出版禁止』 長江俊和

 ミステリを読む大きな楽しみの一つに「驚き」があると思うが、そうした中でも屈指のサプライズを5冊選んでみた。一言で言うなら「読んで驚け!」ということで、それに尽きる。ただし『生者と死者』は、内容もさることながら、「こんな本が存在し、書こうと思った人がいて、実際に書いた」という事実にも仰け反って欲しい。
 (出版部 新井久幸)

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硬軟織り交ぜた5冊

『剣客商売』 池波正太郎
『風が強く吹いている』 三浦しをん
『きらきらひかる』 江國香織
『旧約聖書を知っていますか』 阿刀田高
『藤原氏の正体』 関裕二

 時代小説の面白さを知った『剣客商売』。古代史を独自の視点から解説した『藤原氏の正体』。信者でない者には読みにくそうな聖書を、時に笑わせながら解説してくれる阿刀田さんの『旧約聖書を知っていますか』。以上3作はシリーズもの。江國さんと三浦さんの本はタイトルから全て好きです。
 (受付 石山麻子)

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十代で読んだ5冊

①『赤頭巾ちゃん気をつけて』 庄司薫
②『一瞬の夏(上・下)』 沢木耕太郎
③『二十歳の原点』 高野悦子
④『長距離走者の孤独』 アラン・シリトー/丸谷才一・河野一郎訳
⑤『古代への情熱シュリーマン自伝』 シュリーマン/関楠生訳

 ①初めて読んだ"大人向け"の本。小説っていいなと思いました。②取材する側が取材に終わらず、対象者に関わっていくスタイルが鮮烈。③独りであること、未熟であること。今でも自分に言い聞かせています。④奥歯を噛みしめて走る。生きる。その覚悟の潔さ。⑤毀誉褒貶ある人ですが、この熱情には圧倒されます。
 (新潮講座 上田恭弘)

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中毒性高し!睡眠を放棄させる5冊

①『悪女について』 有吉佐和子
②「十二国記」シリーズ 小野不由美
③『ディスコ探偵水曜日(上・中・下)』 舞城王太郎
④『深夜特急(1~6)』 沢木耕太郎
⑤『わたしたちに許された特別な時間の終わり』 岡田利規

 寝苦しく眠れない夜のてっとり早い解決法は睡眠を忘れるくらい中毒性の高い本を読むことです。①には、サスペンス・ホラー・恋愛・ミステリー......あらゆる要素が詰まっています。様々な証言から浮かび上がる、ひとりの"悪女"の生き様。その強烈な多面性に圧倒され、毒され、魅入られます。寝たい時には読まないで下さい。
 (「バンチ」編集部 魚谷亮太)

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仕事で読んでみたら、面白かった5冊

『手のひらの音符』 藤岡陽子
『キッチン・ブルー』 遠藤彩見
『蟻地獄』 板倉俊之
『夏の祈りは』 須賀しのぶ
『ある奴隷少女に起こった出来事』 ハリエット・アン・ジェイコブズ/堀越ゆき訳

 普段なら書店で見つけても確実にスルーする『手のひらの音符』。仕事上の必要に迫られ読み始めたら一気読み。涙と一緒に思い出まで溢れて来て大変でした。自分の守備範囲外の本とも巡り会えるのが営業の醍醐味です。
 (営業部 内田浩平)

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遠くへ行きたい時の5冊

①『新版 貧困旅行記』 つげ義春
②『孤高の人(上・下)』 新田次郎
③『浮雲』 林芙美子
④『人間の土地』 サン=テグジュペリ/堀口大學訳
⑤『ノーザンライツ』 星野道夫

 どこか遠くへ行ってしまいたい衝動に駆られた時には、まず本棚へ。人知れぬ温泉地を彷徨い①、独り山へと分け入り②、仏印ダラットから屋久島へ流れて③、サハラ砂漠で星空を④、アラスカで極光を眺める⑤。家から一歩も出なくても、心は果てしなく遠くへトリップできる、旅心に効く常備薬的5冊です。
 (「芸術新潮」編集部 大浅真梨子)

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古本屋に売ったらあかん、この5冊(作)

①『勝海舟(一~六)』 子母沢寛
②『晏子(一~四)』 宮城谷昌光
③『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』 村上春樹・河合隼雄
④『風と共に去りぬ(1~5)』 マーガレット・ミッチェル/鴻巣友季子訳
⑤『ベルリン飛行指令』 佐々木譲

 ①「私の名言図書館」ですわ。時々読み返してはカミさんに隠れて泣いてますねん。②宮城谷オペラに池田雅延作曲の解説間奏曲。こら「読む楽劇」でっせ。③小説名人vs.臨床竜王。双方、妙手連発ですな。④自分とレット・バトラーの区別がつかんようになって、困りましたわ。⑤これぞ男や!! 真似はできんけど......。
 (広告部 大川一郎)

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la kagū で売れた5冊

①『サービスの達人たち』 野地秩嘉
②『男の作法』 池波正太郎
③『ヨーロッパ退屈日記』 伊丹十三
④『雪のひとひら』 ポール・ギャリコ/矢川澄子訳
⑤『人間の建設』 小林秀雄・岡潔

 la kagū では2014年のオープン以来、幅允孝さんが率いる BACH が選書した本を販売しています。上位に来たのはおしゃれなお店の雰囲気とは違い、意外にも"男くさい"新潮文庫。1、2位は「仕事と学び」というテーマの棚に置かれていました。これを機に読んだ『サービスの達人たち』、イベントを運営する者としてたいへん勉強になりました!
 (la kagū 室 笠井麻衣)

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人を見る目を養う5冊

『脂肪の塊・テリエ館』 モーパッサン/青柳瑞穂訳
『黒い画集』 松本清張
『沈まぬ太陽(一~五)』 山崎豊子
『女徳』 瀬戸内寂聴
『破戒』 島崎藤村

 総務・人事は人を見る目が問われます。駆出しの週刊誌記者の頃、観察眼を養うにはモーパッサンを読めと教わり、人間の本質を抉る小説の醍醐味を、担当した清張、山崎、寂聴の名作群で味わいました。いま人権の問題と向き合う時は、やはり『破戒』に立ち戻ります。なぜ人は人を差別するか。新潮文庫の詳細な解説も必読です。
 (総務部 加藤新)

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「諸行無常」な5冊

『老師と少年』 南直哉
『日本仏教史 思想史としてのアプローチ』 末木文美士
『知的唯仏論 マンガから知の最前線まで――ブッダの思想を現代に問う』 宮崎哲弥・呉智英
『春の雪』 三島由紀夫
『親鸞「四つの謎」を解く』 梅原猛

 仏教が好きなので、「諸行無常の響き」を感じられるものをピックアップしました。中でも、おすすめは『老師と少年』。著者は、恐山で住職代理を務める禅僧です。「私はなぜこの世界に存在するのか」という少年の実存的不安に、老師がやさしく答えていきます。特筆すべきは、仏教用語が一切出てこないこと。不思議な読後感をもつ一書です。
 (「新潮新書」編集部 金寿煥)

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「ドスのようにポケットに」入れる5冊

『性的人間』 大江健三郎
『夏の闇』 開高健
『ニシノユキヒコの恋と冒険』 川上弘美
『パルムの僧院(上・下)』 スタンダール/大岡昇平訳
『エロチック街道』 筒井康隆 (著者五十音順)

「僕を支えたのは、ドスのようにポケットにおさめた、石川淳の小説であった。そこに描かれた、えたいのしれぬ生命力のかたまり(略)は、燃えるような励ましを、ポケットの主につたえたのだ」と書いたのはノーベル賞作家。そんなドスのように熱く、色っぽく、異端で、虚無的で、マそれでも生きていかなしゃーないやんか、という励ましに満ちた文庫です。いくつになっても支えてくれます。
 (「波」「神楽坂ブック倶楽部」室 楠瀬啓之)

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新潮文庫の「変わらない装幀」5冊

『ナイン・ストーリーズ』 サリンジャー/野崎孝訳(麹谷宏装幀)
『ガラスの動物園』 テネシー・ウィリアムズ/小田島雄志訳(辰巳四郎装画)
『武者小路実篤詩集』 武者小路実篤/亀井勝一郎編(統一フォーマット)
『813 ルパン傑作集(Ⅰ)』 モーリス・ルブラン/堀口大學訳(辰巳四郎装幀)
『長距離走者の孤独』 アラン・シリトー/丸谷才一・河野一郎訳(池田満寿夫装幀)

 新潮文庫は創刊104年。収録の名作は装幀を新しくすることでその時々の新たな読者にアピールしてきました。ほとんどが新しくなる中で、あまりにも素晴らしく、どうしても変えられない装幀の名作がわずかですが残っています。これがなかなかどれも素敵なのです。時代を超越する衣を纏った今でも入手可能な新潮文庫をピックアップしました。
 (装幀部 黒田貴)

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「そう来るの!!」と思わず絶句、想像の斜め上をいく5冊!

①『噂』 荻原浩
②『あかんべえ(上・下)』 宮部みゆき
③『ロートレック荘事件』 筒井康隆
④『何者』 朝井リョウ
⑤『ふがいない僕は空を見た』 窪美澄

 青春小説、ミステリー、時代小説。ジャンルは様々ですが、どれも「参りました!!」と土下座したくなった5冊です。活字ならではのどんでん返しや叙述トリックの面白さが詰まった、超絶びっくりな作品もありますが、この始まりからこんな感動が待ってるなんて!と本を持つ手が震えた作品も。どれを手にとっても絶対ハズレはありません!
 (出版企画部 郡司裕子)

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『檸檬』も『蟹工船』も!純文学の隠れた宝庫、「白背・題スミのせ」の5冊

①『老妓抄』 岡本かの子
②『機械・春は馬車に乗って』 横光利一
③『夏の花・心願の国』 原民喜
④『海潮音』 上田敏訳詩集
⑤『青梅雨』 永井龍男

 2作目からカバー背に色がつく新潮文庫で、1書目のみの著者は白地に黒タイトル。しかしここに名作が集う。女の靱さと可憐さが名文に薫る①、②はモダニズムの旗手の傑作選、③は被爆した「美しい散文家」(大江健三郎)の代表作。仏近代詩を日本語の財産とした④に、戦後の短編名手の⑤。刊行50年超もざらな「白背」文庫は、純文学の宝庫です。
 (文庫編集部 古浦郁)

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心が整う5冊

『シズコさん』 佐野洋子
『無能の人・日の戯れ』 つげ義春
『家守綺譚』 梨木香歩
『雪沼とその周辺』 堀江敏幸
『つゆのひぬま』 山本周五郎

 代表チームの活躍に心を打たれ、キャプテン長谷部を思い「心が整う本」を選びました。単純には整わない本も入っていますが、長い目で見ればこのジャンルに加えても良いかも。一冊ずつじっくり読むもよし、常備してふとした時にちょっと読んでみるのも悪くないかと思います。本当は山田太一著『月日の残像』も入れたかった。
 (社長 佐藤隆信)

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一ページ目からぐっと惹きこまれる5冊

『草枕』 夏目漱石
『にごりえ・たけくらべ』 樋口一葉
『ティファニーで朝食を』 カポーティ/村上春樹訳
『はつ恋』 ツルゲーネフ/神西清訳
『ロリータ』 ナボコフ/若島正訳

 魅力的な一行目、ぐっと惹きこまれる一ページ目......。物語の始まりはいつも、胸が高鳴るもので、それは今も昔も、日本も海外も、変わりません。「昔の人の小説は難しいんでしょ?」「海外作品って苦手」そんな風に思っている方にこそ、読んでもらいたい5冊です。オススメは『にごりえ・たけくらべ』収録の「十三夜」。一葉の文体、読み出したらきっと、止まりません。
 (新潮文庫 nex 編集室 高橋裕介)

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テンアゲな5冊

①『パプリカ』 筒井康隆
②『海辺のカフカ(上・下)』 村上春樹
③『仮面の告白』 三島由紀夫
④『わたしたちに許された特別な時間の終わり』 岡田利規
⑤『ある奴隷少女に起こった出来事』 ハリエット・アン・ジェイコブズ/堀越ゆき訳

 動悸息切れ必至。一文字一文字から沸き立つパワーに時に茫然とするけれども、その世界の強度は比類なく、現実の何よりも頼もしく、この本きっと、死ぬまで私を支えてくれるな、そう確信してやまない、ひれ伏すしかない、もうテンションあがるほかない逸品です。特に②は、かなり実際的に辛かった時を支えてくれ、深く感謝。
 (「新潮」編集部 鶴我百子)

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圧倒的な、余りに圧倒的な5冊

『殺戮者は二度わらう 放たれし業、跳梁跋扈の9事件』 「新潮45」編集部編
『私という病』 中村うさぎ
『学生との対話』 小林秀雄
『トットひとり』 黒柳徹子
『私の嫌いな10の言葉』 中島義道

 よくも悪くも、ある人間の哲学や人生そのものに身震いするほど感電してしまう圧倒的瞬間がある。知的にも、感情的にも。そして、時には余りの鬼畜の所業にすら、その圧倒的震えは発動する。『殺戮者は二度わらう』(シリーズ)は頻発するおぞましい事件報道の片鱗を見聞きする度に思い出す、圧倒的に怖い、地獄絵図のような一冊だ。
 (出版部 中瀬ゆかり)

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現実逃避な5冊

『剣客商売』 池波正太郎
『ヨーロッパ退屈日記』 伊丹十三
『負け逃げ』 こざわたまこ
『悟浄出立』 万城目学
『言いまつがい』 監修・糸井重里/編者・ほぼ日刊イトイ新聞

 すべてを投げ出し今すぐどっか行きたい、しかし時間もお金もない......そんな時こそ文庫本! ページを開けば空気ががらりと変わり、江戸時代やらヨーロッパやら古代中国やら某地方都市に飛んでいき(もしくはスキマ時間で笑いまくり)、読み終わったらさっきのもやもやした気持ちをすっかり忘れている、そんな本たちです。
 (「小説新潮」編集部 西麻沙子)

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同級生と「青春に乾杯!」したくなる5冊

①『4TEEN』 石田衣良
②『夜のピクニック』 恩田陸
③『風が強く吹いている』 三浦しをん
④『赤頭巾ちゃん気をつけて』 庄司薫
⑤『深夜特急(1~6)』 沢木耕太郎

 ①~④は、新旧の青春小説の定番ですね。『風が強く吹いている』は箱根駅伝に挑む大学生たちの物語ですが、あらゆる部活・サークルできっと同様のドラマが繰り広げられていたはず。最後の『深夜特急』だけはちょっと毛色が違いますが、ゴールも期限も定めぬ「さすらいの旅」に出るのも、また若者の特権です。
 (宣伝部 馬宮守人)

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落ち込んだ時に効く5冊

①『うらおもて人生録』 色川武大
②『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』 森下典子
③『夫婦脳 夫心と妻心は、なぜこうも相容れないのか』 黒川伊保子
④『手のひらの音符』 藤岡陽子
⑤『今日われ生きてあり』 神坂次郎

「なにもかもうまくいくということはありえない」「九勝六敗を狙え」など、①は至言の宝庫。②はお茶を通じて「このままでよい」と教えてくれる。家庭で職場で「男女の壁」に悩んだら③を。人生はいつでも再出発できる。深い共感が広がる④はこの秋のおすすめ。特攻隊員の遺した文章に涙が止まらない⑤。しっかり生きねばと腹が据わります。
 (文庫編集部 三重博一)

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忘れられない5冊

『あすなろ物語』 井上靖
『次郎物語(上・中・下)』 下村湖人
『デミアン』 ヘルマン・ヘッセ/高橋健二訳
『人生論ノート』 三木清
『三四郎』 夏目漱石

 中学高校時代、新潮文庫をむさぼるように読みました。とりわけ夏休みと言えば、「新潮文庫の100冊」をどれだけ読めるかに挑戦するのが毎年の定番でした。そうやって読んだ本の中で、確実に私の生き方に影響を及ぼしたと思えるのがこの5冊。もしあの時出会わなかったら、人生はもっと味気ないものになっていたでしょうね。
 (「エンジン」編集部 村上政)

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焦ったときの5冊

①『とにかくうちに帰ります』 津村記久子
②『殺したい蕎麦屋』 椎名誠
③『二十歳の原点』 高野悦子
④『ヨーロッパ退屈日記』 伊丹十三
⑤『礼儀作法入門』 山口瞳

 なるべく焦りたくないものだが、仕事をしていると「焦る」瞬間がたびたび来る。大抵、焦っても仕方ないので正気を取り戻すことが最優先。
 そんな時この5冊が、のんびり笑っているうちに①②、初心を思い出させ③、冷や水をぶっかけてくれる④。もしかしたら、解決策だって教えてくれるかも⑤。
 (「週刊新潮」編集部 森永恵理子)

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スポーツ観戦を考える5冊

①『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』 高橋秀実
②『バーボン・ストリート』 沢木耕太郎
③『9回裏2死満塁 素晴らしき日本野球』 玉木正之編
④『とにかくうちに帰ります』 津村記久子
⑤『運がいいと言われる人の脳科学』 黒川伊保子

 弱くても勝ち、満塁でも0点なんて珍しくもありませんが、自分が観ていてあんまり負けるとファンとして微かな責任を感じるものです。④の「バリローチェのフアン・カルロス・モリーナ」に登場するのは、応援相手が必ずずっこけてしまうある種の厄病神。私か。私(の贔屓チームの勝利)に一体なにが足りないのか、やっぱり「運」じゃないかしらん......ということで最近は、⑤を読んでいます。
 (校閲部 湯浅美知子)

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ヤバすぎる『人間』たちの5冊

『死刑のための殺人』 読売新聞水戸支局取材班
『黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人』 森功
『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』 清水潔
『凶悪 ある死刑囚の告発』 「新潮45」編集部編
『その時 殺しの手が動く 引き寄せた災、必然の9事件』 「新潮45」編集部編

 これまでの取材でもっとも戦慄を覚えたのは、静岡県三島市の上智短大生焼殺事件(『その時 殺しの手が動く』所収)だと思う。通りすがりの女子大生を拉致して強姦し、哀訴する彼女に灯油をかけて焼き殺した。まさに極悪非道、犯罪と犯罪の間で暮らしているような犯人だったが、すでに死刑判決が下り、執行されている。
 (「新潮45」編集部 若杉良作)

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