書評・エッセイ

2019年3月号掲載

阿川せんり『ウチらは悪くないのです。』刊行記念

ウチらは波にのるのです。

阿川せんり

北海道を舞台に“青春”に翻弄される女子大生二人を描いた長編小説が誕生!
勢い余って、なんと登場人物が自ら新刊をPR!?

対象書籍名:『ウチらは悪くないのです。』
対象著者:阿川せんり
対象書籍ISBN:978-4-10-352311-6

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――今回は、『ウチらは悪くないのです。』の登場人物であるお二人に、作品についてのPRを行っていただきます。

あさくら(以下、)「あさくらさんです!」

うえぴ(以下、)「......上田です」

「うえぴったら、なに『上田』とか畏まってるのよ」

「お前がのびのびとし過ぎなんだよ。ってか、登場人物がPRって、なんだかなあ......」

「うえぴはこう言っておりますが、あさくらさんは気合十分でやって参りました。さあ、アピりますのよ!」

――それでは、うえぴさん。まずは作品の内容についてご説明お願いします。

「え、私? えー、この物語は、とりたててやりたいこともなくかろうじての趣味といえば私の貸す漫画や小説を読むことくらいという、なんもない系女子大生のあさくらに、ひょんなことから彼氏らしきものができ――といった感じで始まります」

「壁ドンはありますか?」

「ありますか? って、体験するのはお前だろ......いや、してないけど。壁ドン要素は作中に一切ないです」

「床ドンは? 天ドンは? 蝉ドンは?」

「えー......あさくらは『ここって漫画だったら壁ドンする場面ですよね!?』みたいなことをあれこれ考えては、ひたすら空回っていきます。『これはときめくシチュエーション』と言いながら、漫画や小説のようにはいかない展開とあさくらの本心」

「うえぴさん、お相手の男性は!?」

「はたして、なんもない系の日々は意識高い系ではなくマジモンの意識高いメガネ男子彼氏の出現により色づくのか? あさくらは胸キュンするのか? ......みたいな話、ですかね」

「うえぴ、作家志望のくせに要約下手やね」

「私は小説家志望であり、ネタになるかなーと、あさくらが彼氏とどんなやりとりをするのか聴取していくのですが......こいつの繰り広げる『お付き合い』が、あんまりにもあんまり過ぎて......」

「あんまりにもあんまりって、なによう!」

――なるほど。札幌を舞台にした物語ということで、あさくらさんはデートスポットなどにも行かれるのでしょうか?

「えーーーーと......?」

「なんで私を見ながら首を傾げるんだよ......えーと、あさくらと彼氏がデートで行ったのは、アピアのスパゲティ屋に、アピアのオムライス屋に、大学の学校祭でケバブ食って、地下歩行空間のタリーズでパスタとキッシュ食べ......お前ら食ってばっかりか」

「でもでも、一緒に食事をとることで人間の相性がわかるというではありませんか!」

――やはり北海道ということで、美味しい食べ物が物語のキーになるということですかね。

「大体チェーン店だよねえ?」

「大学生だからなあ」

「あ、でも、なんか個人経営っぽい、オサレげなカフェには行きました!」

「デートじゃなくて、大学の知り合いに連行された店としてな」

「場所はあまり覚えていません。東の方だったことは確かですが。なんかすごい、こだわりの水出しであろうアイスコーヒーのお店でした」

――ええと。食べ物のお店以外には本編で行かなかったんですかね? 北海道の名所とか。

「時計台なら、小さい頃、内部に入りました!」

「......名所らしき名所には、作中、行ってないですね。ウチらの大学が名所と言えなくもないですが」

「学食の牛とろ丼美味しいです」

「私とあさくらが交流する場も札幌駅のスタバですし」

「あ、でも、デートの時に狸小路のミニシアターに行きましたよ! なかなかに素敵な空間と映画でした!」

「ミニシアターの後、大通のスタバに入ってたよな、お前ら」

「あと、ほら、水族館行ったじゃん!」

「おたる水族館な。そう、札幌だけでなく小樽に行ったりはしましたね」

「水族館はね、大人こそ行くべき場所であると。いいですよお、おたる水族館。セイウチがね、肉塊でね」

――水族館デートですか。いいですね。

「いえ、水族館には私と行きました」

――えっ。

「なぜに彼氏を差し置いて、うえぴと水族館に行ったのか......その真相は本編にて!」

――そ、そうですか。ええと......大学生でも気軽に利用できるお店をメインに、あさくらさんの上手くいかない恋を応援するような物語......ということですかね。

「ウチらが言うのもなんですが、スタバって、大学生が気軽に利用できるお店なんですかね?」

――いえ、首を傾げられましても......

「あの、ごめんなさい......正直、彼氏云々よりも、こいつと私がくっちゃべってる場面が中心です。説明に困って『空回りラブ☆』みたいな言い方をしてしまったのですが、ラブはあまりありません」

「では、この物語はなんなんですか? ラブがないなら、そこになにがあるのですか?」

「青春......ですかね」

「でも、公式サイトのあらすじに『アンチ青春』って書いてありますのよ」

「うるせえよ、アンチ青春なんておおよそ最終的には青春に到るんだよ」

「そもそも青春とはなにか?」

「ああ、それそれ、そんな感じの物語です。ウチらから言えるのは以上です」

「以上です」

――あ、えーと......以上ですか。え、以上ですか?

「すみません。本当、すみません。『ウチらは悪くないのです。』を何卒よろしくお願いします」

「とぞよろ!」

――ありがとうございました?

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