書評
2021年4月号掲載
朝井リョウ『正欲』刊行記念特集
『正欲』って、何?
読んでみないとわからない衝撃を語る!
朝井リョウ、作家生活10周年記念作品の書下ろし長篇『正欲』。
〈あらすじを簡単に書きたくない、作家が作った爆弾をそのまま、受け止めてほしい……〉
そんな想いで送り出した作品に、書店員の皆様からさまざまな声が届きました。
対象書籍名:『正欲』
対象著者:朝井リョウ
対象書籍ISBN:978-4-10-126933-7
蔦屋書店 嘉島
迫彩子さん
正しさは暴力だ。自分に正直に生きることと、その正しさを他人に押しつけることは違う。作中の人物の言っていることは、全て理解できるし、理解したいと思った。"多様性"という言葉にして安心した気になっていると本当のことは見えてこない。もっと自分自身とも向き合わなければ自分のことも他人のことも見えてこない、そう考えさせられる作品でした。
未来屋書店 大日店
石坂華月さん
多数派にいることでどこか安心している自分の腹黒さを晒された。突きつけられた問いに答えが出せないまま読了。一言一句漏らすことなく味わい尽くしたい。ネタバレしないで、まっさらな心で読んでもらいたい。そして一緒に自分の心の汚れについて話し合いたい!
本のがんこ堂 野洲店
原口結希子さん
登場人物の絶叫にぶちのめされます。気楽な大声で感想をばらまきたがる私のような受けとり手とは真逆の、芯から自分のこととしてこの物語になぐさめを感じる人も、きっと沢山いると思います。その人たちに、この本を届けるためにできることをやりたいです。
ジュンク堂書店 吉祥寺店
田村知世さん
なんて恐ろしくて凶暴な本。読む前の自分には、もう二度と戻れないのだと愕然とした。でも、読んで良かった。それだけは間違いない。
けやき書房
辻本東美さん
この小説は、アダムとイヴの食べたリンゴだったのかもしれません。「どうして神様は、人間をみんな同じに作ってくれなかったの?」
紀伊國屋書店 新宿本店
久宗寛和さん
「みんな違って、みんないい」という謳い文句に、どれだけ思考停止させられていたかを思い知った。
高橋源一郎 (作家)
みんなのヒミツ、暴かれた。朝井さん、やっちまったね。どうなっても知らないから。
バービー (フォーリンラブ)
行き場をなくしていた感情たちがパズルのようにハマって、私の明日も動き出した。
川谷絵音 (ミュージシャン)
この作品は、人を生かしも殺しもする。これ以上は言葉にできない。
痛みを負いながら繋がり続ける意味を問い、
哀しみのなかでも生きていようよ! と叫ぶ声が響く......
あなたもぜひ、体感してください。