書評
2021年12月号掲載
こ~んに~ちは~!!
錦鯉『くすぶり中年の逆襲』
対象書籍名:『くすぶり中年の逆襲』
対象著者:錦鯉
対象書籍ISBN:978-4-10-354331-2
長谷川 こ~んに~ちは~!!
渡 辺 うるせえよ。
長谷川 ボクたち、錦鯉の本が絶賛発売中だよ!
渡 辺 ……って、そこはボケろよ!でも、本当に本は発売中です!
長谷川 それにしても、自分の本が出るなんて嬉しくてねぇ。今や、この本が自宅の本棚にビッシリですよ!
渡 辺 本棚なんか、ねぇだろ! でも出版はありがたいことだよ。ところで雅紀さん、出版に合わせて、何かやってる?
長谷川 しっかり告知できるように、規則正しい生活をしようと思ってね。
渡 辺 お? エラいじゃない。
長谷川 毎日、午前3時まで起きているんだ。
渡 辺 寝ろよ! 不健康だよ!
長谷川 でも、寝ても2時間おきに、目が覚めちゃうんだよ。
渡 辺 オジさんだからなぁ、オレたち。でも、そんなオジさんの本が出ちゃうんだから、凄いよね。
長谷川 そうなんだよ。さてここで、ちょっと突然だけど、今年一年を漢字一文字で表したいんだ。
渡 辺 いきなりだね。この時期になるとよくあるやつだな。じゃあ、雅紀さんは何?
長谷川 はい、これです。「変」!
渡 辺 変態の「変」?
長谷川 違うよ! 変質の「変」!
渡 辺 だから、変質者の「変」でしょ?
長谷川 違うって! 芸人としての仕事が増えて、その結果バイトをしなくなって、出たいと思っていたテレビ番組にも出られて。とにかく色々な意味で変わった年、という意味だよ。
渡 辺 なるほどね。オレは「出」だな。ようやく芸人として世の中に出たし、テレビにも出たし、何より本が出たし。でも、オレらのこと知らない人が見たら、びっくりするだろうな。なんだこのオジサンの本って。
長谷川 タイトルも凄いからね。『くすぶり中年の逆襲』。
渡 辺 でも、カバー写真がなんともいえずいい感じで。雅紀さんは遺影に使えそうだしね。
長谷川 はっはっはっはっはっ。
渡 辺 せっかく本が出たから聞いてみたいんだけど、雅紀さんて、普段から本を読んでいるの?
長谷川 読みますよ。だいぶ前にバイきんぐの小峠(英二)に、恩田陸さんの『夜のピクニック』は面白いから絶対に読んだ方がいいと言われてね。じゃあ、貸してよって頼んだら、「借りた本は読まない。自分で金出して買わないとダメだ」と言われてね。それ以来、本は必ず買って読むようにしているんだ。
渡 辺 エラいじゃない!
長谷川 ここで今回の本の中身を紹介しようか。ボクらの生い立ちから、芸人になってブレイクするまでを、二人で語り下ろす形で紹介させてもらっているんだけど。
渡 辺 これを「半生記」というのかもしれないけれど、オレたち世に出るまで、本当に“半世紀”近くかかっているからね。
長谷川 ボクが49歳、隆が42歳。おかげで「遅咲きの反逆中年」とか「第7世代の親世代」と言われたけど、とにかく売れるまでが長かったから。
渡 辺 本当だね。ダラダラやっていたから、芽が出なかったんだけど。では、この本の読みどころは?
長谷川 40歳、50歳、60歳と年を重ねていくと、何かを諦めるとか、終わりにむかって生きていくという考え方もあるけれど、ボクたちがいい例で、中年になってもまだ何かができるという、そんなヒントになるというか。
渡 辺 なるほど。確かに、こんな生活や人生があるんだなと、一つの例として読んでもらえるといいね。オレらみたいな人間でも、こうしてやってこられたんだなと。
長谷川 今、何をやってもうまくいかない人でも、人生に少しだけ期待をもてるんじゃないかな。
渡 辺 ただ決してオレらの真似はしないでくださいね。特に雅紀さんの生活ぶりとかは絶対に。
長谷川 今までどこにも話していないエピソードも盛りだくさんですから。
渡 辺 ああ、そうだ。オレも知らないことがあったもんな。
長谷川 特にボクは北海道から出てきて、とにかく周りの人に助けられたからな。人間、捨てたもんじゃないな、とこの頃よく思うもん。
渡 辺 助けられたアンタが言うもんじゃないよ!
長谷川 これからはひたすら、恩返しの人生だね。
渡 辺 償いの人生だろ。出版後、すぐに逮捕、とかなしだからね。
長谷川 いやいやいや、その方が話題になって本は売れるんだから!
渡 辺 そういう問題じゃねーよ! どこまで前向きなんだよ。
どーも、ありがとうございました。
(にしきごい お笑い芸人)