書評

2022年4月号掲載

できる男は、「骨格タイプ」を知っている

テート小畠利子『知的に見える男、バカっぽく見える男』

テート小畠利子

対象書籍名:『知的に見える男、バカっぽく見える男』
対象著者:テート小畠利子
対象書籍ISBN:978-4-10-610946-1

「どんな仕事してるの?」と玄関のブザーを取付けにきた電気屋さんが尋ねてきました。
「15年も銀行員だったのだけど、イメージコンサルタントとして起業することにしたんです」
 清水の舞台から飛び降りる思いで、起業に踏み切ったのは2003年でした。電気屋さんが不思議そうにしていたのは、当時はこちら英国でもこの職種の認知度はまだ低かったからでしょう。
 イメージコンサルタントとは、お客様一人ひとりの「見た目」に向き合い、それをより良くするお手伝いをする仕事です。「見た目」から生まれるイメージというのは、仕事はもちろん、交友関係、恋愛などあらゆる場面に影響し、決して無視できない貴方の一部です。これを無視すれば、大損をすることにもなりかねません。
 では、「見た目」を良くするためのカギは何でしょうか。とにかく服を買うこと? 流行に乗ること? 正解は、貴方自身を知ることです。具体的に言えば、3つある男性の「骨格タイプ」のうち、貴方がどれに当てはまるかを診断し、「骨格」に合う服を選ぶことがスタートになります。
 合う服を着ると、着心地が最高に良くなるのはもちろん、貴方が何も喋らなくても「見た目」が周囲にポジティブな印象を与えるきっかけとなります。好感をもたれる、尊敬される、チームを組みやすくなる、など「余計な苦労」をしなくてすむようになっていきます。私自身、お客様がそんな変化を遂げていく過程に、魅せられてきました。
 これまで接してきたお客様の数はほぼ1万人、ロンドンという土地柄もあり、国籍や人種は文字通り様々でした。なかにはアフリカから、週末にかけショッピングに来るついでに、私のコンサルティングを受けるという方もいます。仕事も人間関係も、「できる」人ほど、自分のイメージを大切にしているのだと痛感させられます。
 ただし、お客様たちが皆、最初からそうなのではありません。「見た目」に迷ったり、はたまた人生に行き詰ったりした方もいます。本書には、そんなお客様とのやりとりも盛り込みました。コンピューター関連の仕事がうまく行かなくなってきたという40代男性、まさかの離婚をして、新たな出会いが欲しいと仰る50代男性。英国人も悩むスマートカジュアルの着こなしを解説してほしいと、企業の講習会でお話しした時のこと。
 そして忘れることのできない、目の見えないビジネスコンサルタントとのパーソナル(同行)ショッピング――。「人に頼らなくても、自分の骨格に合った服選びができる自信がついた」と後日連絡をもらった時は胸が熱くなりました。
「見た目なんて」と、貴方自身の持っている魅力と知的度を冬眠させてしまっていませんか? ぜひ本書をお役立てください。


 (テート・こばたけ・としこ イメージコンサルタント)

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