エリザベスの友達(新潮文庫)
新潮文庫
文芸一般
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作品カナ:エリザベスノトモダチシンチョウブンコ
紙書籍ISBN:978-4-10-120352-2
紙書籍ISBN:978-4-10-120352-2
娘の顔も忘れてしまった彼女は記憶の中の最も輝かしい時代に舞い戻る。
戦後、命からがら娘と日本に引き揚げた初音さんは今年九七歳になる。もう今では長女の顔もわからない。病が魂を次々と剥いでゆくとき、現れたのは天津租界でのまばゆい記憶だ。ドレスに宝石、ミンクを纏い、ある日はイギリス租界の競馬場へ、またある日はフランス租界のパーマネントに出かけ、女性たちは自由だった――時空を行き来しながら人生の終焉を迎える人々を、あたたかく照らす物語。(解説・岸本佐知子)
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村田喜代子(ムラタ・キヨコ) プロフィール
1945(昭和20)年、福岡県北九州市八幡生れ。1985年、自身のタイプ印刷による個人誌「発表」を創刊。1987年「鍋の中」で芥川賞を受賞。1990(平成2)年「白い山」で女流文学賞を、1992年「真夜中の自転車」で平林たい子賞を、1998年「望潮」で川端康成賞を、2014年『ゆうじょこう』で読売文学賞を、2019年『飛族』で谷崎潤一郎賞を受賞した。ほかに、『花野』『蟹女』『龍秘御天歌』『八幡炎炎記』『屋根屋』『故郷のわが家』などの著書がある。