目玉(新潮文庫)
新潮文庫
文芸一般
TTS(読み上げ)対応
作品カナ:メダマシンチョウブンコ
紙書籍ISBN:978-4-10-114316-3
紙書籍ISBN:978-4-10-114316-3
白内障になった目を人工水晶体にとりかえる手術の模様を、子供のような好奇心でクールに眺める作家の視線。短編の名手が贈る7編。
タクシー内にただよう異臭から思い出す数かずのニオイについて。妖怪にはじめて出会った子供の頃の避暑地の出来事。同じ避暑地で起こった鋸山心中事件から連想する「天国に結ぶ恋」坂田山心中。白内障手術と人工水晶体と埴谷雄高氏と。いのししの肉を送ってくるヤクザとの25年にわたる奇妙なつきあい…等々、鋭利な感性で研磨された過去の記憶が醸しだす、芳醇な吉行文学の世界。7篇収録。
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吉行淳之介(ヨシユキ・ジュンノスケ) プロフィール
(1924-1994)1924(大正13)年、岡山市生れ。東京大学英文科中退。1954(昭和29)年「驟雨」で芥川賞を受賞。性を主題に精神と肉体の関係を探り、人間性の深淵にせまる多くの作品がある。また、都会的に洗練されたエッセイの名手としても知られる。1994(平成6)年、病没。主要作品は『原色の街』『娼婦の部屋』『砂の上の植物群』『星と月は天の穴』(芸術選奨文部大臣賞)『暗室』(谷崎賞)『夕暮まで』(野間賞)『目玉』等。