快楽(新潮文庫)
新潮文庫
文芸一般
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作品カナ:ケラクシンチョウブンコ
昭和十年前後、性と政治と宗教という互いに矛盾した問題に懊悩する仏教僧の青春を描く自伝的巨編。日本文学大賞受賞。
たとえ女と交わっても覚楽してはならぬ。覚楽なければ不犯なり――厳しい戒律のなかでうろたえ、摸索する青春の魂。教団活動と左翼運動の境界に身を置く“赤い坊さん”柳は教団及び革命団体の分裂抗争に巻きこまれる……。集団悪の諸相、人間の業の深さを見据えて、戦慄すべき予言と稀有の洞察にあふれる本書は、巨人武田泰淳がそのすべてを投入した畢生の大作である。
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武田泰淳(タケダ・タイジュン) プロフィール
(1912-1976)東京駒込生れ。東大支那文学科に入学後まもなく、左翼活動で逮捕される。出署後、活動をやめ、東大も退学。1933(昭和8)年竹内好らと「中国文学研究会」を創設。1937年応召、1939年除隊。1943年『司馬遷』を刊行。1944年上海に渡り、1946年帰国後、旺盛な創作活動をはじめ、「蝮のすゑ」『風媒花』などを発表。その他『森と湖のまつり』や『富士』など多くの著書があり、1972年『快楽』で日本文学大賞、1976年『目まいのする散歩』で野間文芸賞を受賞。