木(新潮文庫)
新潮文庫
エッセイ・随筆
作品カナ:キシンチョウブンコ
紙書籍ISBN:978-4-10-111612-9
紙書籍ISBN:978-4-10-111612-9
父露伴は著者を叱りつけた。木々を愛でる心は一生の財産。それなのに、なぜ娘に……。
樹木を愛でるは心の養い、何よりの財産。父露伴のそんな思いから著者は樹木を感じる大人へと成長した。その木の来し方、行く末に思いを馳せる著者の透徹した眼は、木々の存在の向こうに、人間の業や生死の淵源まで見通す。倒木に着床発芽するえぞ松の倒木更新、娘に買ってやらなかった鉢植えの藤、様相を一変させる縄紋杉の風格……。北は北海道、南は屋久島まで、生命の手触りを写す名随筆。(解説・佐伯一麦)
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幸田文(コウダ・アヤ) プロフィール
(1904-1990)東京生れ。幸田露伴次女。1928(昭和3)年、清酒問屋に嫁ぐも、十年後に離婚、娘を連れて晩年の父のもとに帰る。露伴の没後、父を追憶する文章を続けて発表、たちまち注目されるところとなり、1954年の『黒い裾』により読売文学賞を受賞。1956年の『流れる』は新潮社文学賞、日本芸術院賞の両賞を得た。他の作品に『闘』(女流文学賞)『父・こんなこと』『おとうと』『台所のおと』『きもの』『木』『雀の手帖』『崩れ』『包む』など。