あだし野(新潮文庫)
新潮文庫
文芸一般
作品カナ:アダシノシンチョウブンコ
紙書籍ISBN:978-4-10-109505-9
紙書籍ISBN:978-4-10-109505-9
生と死の凄惨な闘いを映し出し、この世の無常を見据えて、比類なき〈精神の勁さ〉を明かす、立原文学の秀作。
頽廃の淵にありながら、一顆のレモンのように涼しい顔をした男、壬生七郎――。その、むごく鮮烈な愛ゆえに、女は自殺をはかり、妻は精神に錯乱を来たした。無明の歳月は流れ、今や悪性の腫瘍を宣告された彼の赴く先は? 仮借ない自己分析と、透徹した美意識のうちに、生と死の凄惨な闘いを映し出し、この世の無常を見据えて、比類なき〈精神の勁さ〉を明かす、立原文学の秀作。
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立原正秋(タチハラ・マサアキ) プロフィール
(1926-1980)1926(大正15)年、朝鮮慶尚北道安東郡生れ。幼くして父を失い、1937(昭和12)年、横須賀の母の再婚先に移る。早稲田大学専門部に入学し、文学部国文科に学ぶが中途退学。「薪能」「剣ヶ崎」で芥川賞候補となり、1966年、「白い罌粟」で直木賞を受賞。凛とした精神性と日本的美意識に裏打ちされた多くの作品を生み、1980年、食道癌により死去。主な小説は『冬の旅』『舞いの家』『残りの雪』『夢は枯野を』『冬のかたみに』『帰路』等。