怖ろしい場所(新潮文庫)
新潮文庫
文芸一般
TTS(読み上げ)対応
作品カナ:オソロシイバショシンチョウブンコ
紙書籍ISBN:978-4-10-114309-5
紙書籍ISBN:978-4-10-114309-5
小説家羽山の夢に現われた、のっぺらぼうの顔、眉の女、声の女、唇の女たちの反応……。中年男性の心理を浮彫りにする微妙な世界。
厄年の小説家・羽山圭一郎はこわい夢をよくみる。のっぺらぼうの女、眉の女、声の女、額の女、唇の女たちの様々な反応を想起する。現実世界では友人の女性秘書秋岡カオルと逢瀬をかさねるが、やがて別れてパリへ旅立つ。現実と回想と夢が微妙なリアリティーを醸し出す雰囲気の中に、中年男性の心理の襞を浮彫りにする。散らかしながら纏めていく技巧冴えわたる長編小説。
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吉行淳之介(ヨシユキ・ジュンノスケ) プロフィール
(1924-1994)1924(大正13)年、岡山市生れ。東京大学英文科中退。1954(昭和29)年「驟雨」で芥川賞を受賞。性を主題に精神と肉体の関係を探り、人間性の深淵にせまる多くの作品がある。また、都会的に洗練されたエッセイの名手としても知られる。1994(平成6)年、病没。主要作品は『原色の街』『娼婦の部屋』『砂の上の植物群』『星と月は天の穴』(芸術選奨文部大臣賞)『暗室』(谷崎賞)『夕暮まで』(野間賞)『目玉』等。