冬のかたみに(新潮文庫)
新潮文庫
文芸一般
TTS(読み上げ)対応
作品カナ:フユノカタミニシンチョウブンコ
紙書籍ISBN:978-4-10-109511-0
紙書籍ISBN:978-4-10-109511-0
自らの出自や父の死を乗り越えてきたのだろうか。早世した著者が、自らの精神形成を端正な筆に刻んだ、感銘深い長編自伝小説。
どじょうや鮒を獲り、桑の実をつんだ幼少の一日、父の亡骸が帰ってきた。哀しみに凍った日々を、臨済の寺でひたすら禅の修業にうちこんだ少年時代。日韓混血の宿命を負って、いくたびか人生の岐路に立たされながら、厳しく自己を律した青年時代。父の自裁を、母の離反を、彼は超えられただろうか――。早世した著者が、自らの精神形成を端正な筆に刻んだ、感銘深い長編自伝小説。
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立原正秋(タチハラ・マサアキ) プロフィール
(1926-1980)1926(大正15)年、朝鮮慶尚北道安東郡生れ。幼くして父を失い、1937(昭和12)年、横須賀の母の再婚先に移る。早稲田大学専門部に入学し、文学部国文科に学ぶが中途退学。「薪能」「剣ヶ崎」で芥川賞候補となり、1966年、「白い罌粟」で直木賞を受賞。凛とした精神性と日本的美意識に裏打ちされた多くの作品を生み、1980年、食道癌により死去。主な小説は『冬の旅』『舞いの家』『残りの雪』『夢は枯野を』『冬のかたみに』『帰路』等。