書評・エッセイ

2013年6月号掲載

失った視力をあきらめない

――中川和宏『視力回復で近視も老眼も怖くない 即効!「見る力」フィットネス』

中川和宏

対象書籍名:『視力回復で近視も老眼も怖くない 即効!「見る力」フィットネス』
対象著者:中川和宏
対象書籍ISBN:978-4-10-334131-4

 私が所長を務めるビジョン・フィットネスセンターには、全国から毎日、視力低下に悩む相談者がいらっしゃいます。
 当センターでは、国際基準のランドルト環(Cの形の指標)による視力測定を行っていますが、驚くべきことに、相談者の多くが「視力がない」のです。2012年のデータによると、大人の相談者の48%が0・01未満。最低基準の0・01に足りず、「視力がない」状態ということになります。
 私が視力回復の仕事を始めた1980年代初め、日本人の目はそこまで酷くはありませんでした。従姉妹が開業した小児科医院の3階に間借りして、近視の子ども相手に自分で考案した視力トレーニングを指導していたのですが、当時、彼らの目は瞬く間に良くなったのです。大人だって、視力が0・01以下まで落ちる人はほんのわずかでした。
 しかし、ここ20~30年の急速な高度情報化が、目を徹底的に痛めつけるようになります。テレビゲームの登場、パソコンとインターネットの普及、携帯電話の多機能化、携帯ゲームの大ブーム、そしてスマホ……。至近距離で液晶画面を長時間見続けることが多くなり、酷使した目の周囲の筋肉がこり固まって、結果的に近視になってしまう。液晶のバックライトに使われているLEDの青色光も、眼球に過度な負荷をかけています。そこで目を休めればいいものを、子どもは携帯ゲーム機を手放さず、大人は暇さえあればスマホの画面を覗き込むばかり。こういった近視は際限なく進みますから、「視力がない」人が増加するのも当然です。
 ちょっと脅かすような話になってしまいますが、緑内障など、日本人の失明原因の約半分に近視が関連していると考えられています。「ただの近視」と侮ってはいけないのです。メガネやコンタクト、最近ではレーシックで視力を矯正する方もいらっしゃいますが、それは一時しのぎ。気をつけないとさらに度が進んだり、目に大きな負担をかけたりするケースだってあるのです。
 でも、失った視力をあきらめる必要はありません。ちょっとした努力で、目は近視から脱却することが可能なのです。
 本書では、30年余にわたる現場で実績を挙げてきた、視力回復のための効果的なトレーニング「ビジョン・フィットネス」を多数紹介しています。どれも遊び感覚でできるものばかりで、少しずつでも続けていけば、ずっと裸眼で生活していくことだって夢ではないのです。
 

ギザギザフィットネス

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 その一例として、上の「ギザギザフィットネス」に挑戦してみて下さい。線を上から下へ、下から上へと、縦書きの本を読むように目で追っていくだけ。横書きの多いパソコンの画面をずっと見ていた後、この縦の動きが眼球の筋肉のバランスをとり、疲れも軽減してくれます。
 そして、もう1つ。視力の回復には、脳のフィットネスも不可欠です。視覚情報を司る脳の働きを活性化することで、見えなかったものが見えるようになる。その実例はぜひ、本書でお試し下さい。

 (なかがわ・かずひろ ビジョン・フィットネスセンター所長)

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