書評
2026年9月号掲載
ガンで死んだ猫の47日間の闘病から見えてきた猫事情と猫を飼う人のためになる話
峯田淳『猫のいる人生』(新潮新書)
対象書籍名:『猫のいる人生』(新潮新書)
対象著者:峯田淳
対象書籍ISBN:978-4-10-611133-4
我が家の猫は2021年に死んだジュテ、現在飼っている3匹の保護猫だ。
毎朝4時過ぎに4歳になるそうせきに起こされるのだが、その音を聞きつけて10歳のガトー、7歳のクールボーイも「腹へった」とやってきて朝ご飯タイムになる。その横で座り込んで新聞を読んでいるとそうせきが邪魔をする。夏目漱石から名付けたこの猫は飼い主の職業がわかっているのか、新聞にベッタリと座るのが大好きなので「新聞猫」と呼んだりしている。
そんな猫たちとの暮らしの始まりは東日本大震災後にジュテがやってきたことだった。ジュテを連れてきたのは妻だった。震災後に何か訳あって捨てられた猫だと思う。妻が「ウチに来る?」と言うと、トコトコと前を勝手に歩き出し、家の中に入って来た。この猫が居つくことになり、名前をつけたのだが、「捨てられた猫だからフランス語で捨てられたの意味のジュテは?」と妻に言われてジュテになった。しかし、正しくは「捨てられた」ではなく、「捨てる」の意味。それはともかく、野良猫でも地域の人が面倒を見ている地域猫でもない、捨て猫ジュテとの生活が始まった。
ちなみに、本の中で私の生い立ちについて触れているが、生後すぐに両親が離婚してしまい、捨て子になった。「みなしごアッチ」と呼ばれたこともあった。そして、ある時期からジュテとは捨て猫と捨て子のコラボと思うようになった。
それからガトー、クールボーイを飼うようになり、2021年にジュテがガンを宣告された。闘病生活は47日間。その後、そうせきがやってくるのだが。そんな流れの中で猫に関していくつも疑問が湧いてきた。
世に猫の情報が溢れているのに、猫の病気に関する話は意外に少ない。聞けば、猫を飼っている人は猫の病気に触れたがらないという。人間社会では食べ物の情報が氾濫している。しかし、なぜか猫の食べ物に関する話題はCMで見かける程度で多くない。猫漫画はなぜか可愛らしいとか、癒し系が多い。その一方で、保護猫などに関しては対立する意見も多く、双方がお互いの主張を譲らず、場合によっては一方的に攻撃され、炎上する騒ぎが起きる。
要するに、猫に関してはエッセイや蘊蓄ものも多いが、情報が偏っていて、一言で言えば、まだまだ成熟していないということかもしれない。
とても嫌な言い方だが、この現象を「猫好きはリテラシーが低いから」と言った人がいるが、言いえて妙だ。
ならば、猫に関して、タブーなく、何でも見てみよう、書いてみよう。病気から病院、保険、葬儀まで、猫を飼う人の一助になればと思う。帯にある3匹の猫の絵は画家の妻が描いてくれた。
(みねた・あつし コラムニスト、元「日刊ゲンダイ」芸能文化編集部長)




